先日、当ブログ読者様から「連チャンで 5932がイカレたのは回路部品に何か異常があるか、6L6GCの代わりに 5932を使うのは少し酷なのでは?」とアドバイスを頂きました。

重いアンプを動かすのが面倒で直ぐには対処出来ずにいたのですが、やっと重い腰を上げました。

出力管周りの電圧をチェック

このアンプは PK分割位相反転回路を採用した自己バイアス回路だ。

本来 110Vの所を 100Vで使っているので各部の電圧は少し低めになる事を予想しつつ計測してみる。

  1. V3プレート電圧 325V(271V)
  2. V4プレート電圧 325V(276V)
  3. V3+V4共通スクリーングリッド電圧 295V(250V)
  4. V3+V4共通カソード電圧 20V(15.8V)
  5. V3グリッド電圧(0V)
  6. V4グリッド電圧(0V)
  7. V3カソード-グリッド電圧(-15.7V)
  8. V4カソード-グリッド電圧(-15.3V)

上記は回路図上の上側 6L6GBを V3、下側を V4とし、回路図記載の電圧と()内は実計測値だ。

100V使用による各部の電圧低下で 6L6コンパチの 5932でも問題なさそうな値である事を確認。

連チャンで 5932がイカれた考察

最初にイカレたのは「フィラメント断線」だったので、5932を無理な使い方をして壊れた… という事には当たらず、しかし 2本目は「時々ガサガサというノイズが入るようになった」に関しては「無理な使い方をした結果」も想定出来るので気になっていたのだが、今回の電圧チェックで特に問題は無く、単純にビンテージ管のアタリが悪かった… という具合に結論付けたいと思います。

事実、新しい 5932に交換後既に数日経過してますが、今の所不具合は発生していません。

電解コン以外の全コンデンサーをリキャップ

久しぶりにシャーシをひっくり返して各所部品を観察すると…

やはり古いオイルコンデンサー等に不安を感じたので、この際私の手で電解コンデンサー以外の全てのコンデンサーを新品のコンデンサーにリキャップしようと決意した。

コンデンサーは殆ど悩む事も無く、信頼のオレンジドロップを使う事にして、万一のハム音対策の為に 40μの補強用電解コンデンサーも買っておいた。

コンデンサーは全てスプラグとコーネルダブラー製を使用。

まずは古いコンデンサーを全て撤去。

ボリュームにガリがあったので、以前に購入してあった新品の「Allen Bradley」に換装した。

そして初段管にある高周波発振対策用コンデンサーを取り付ける。

勿論ハンダは銀入りKESTERで…

そして部品の交換は私お得意の…

パーツをラグ板から外さないで、短く残したリード線に新しい部品のリード線を細いスズメッキ線でバインドして、その上から半田付けする方法だ。

手間は掛かるが、こうする事で古くなって弱っているラグ板端子とそれに連結されている他のパーツに半田ごての熱によるストレスを掛けないやり方となり、また将来再び同部品を交換する際にもバインドから部品がスルっと抜けるのでスムースな交換作業が出来る様になるのだ。

次いで、プリ管と出力管用カップリングコンデンサーを交換。

元々付いていた出力管用カップリングコンデンサーは 0.047μFだったが、回路図では 0.22μFだったので、今回はプリ管用の 0.22μFに合わせ出力管用も 0.22μFを採用する事にした。

最後に出力管の自己バイアス用カソードコンデンサーと、やはり出力管のプレート側に設置される高周波発振対策用のコンデンサーも交換。

ちなみにこの高周波発振対策用のコンデンサーを外したままにするとアンプの周波数帯域は 10Hz〜70KHzまで広がるらしいですが、万一耳に聞こえない高周波発振が発生すると出力管に過大な電流が流れ管を損傷、出力トランスの 1次側も損傷の恐れありなので、安全の為には当然使用する方向で。

ハム音はほぼ感じない為、補強用に購入した電解コンデンサーは結局使わずしまい。

まとめ

ふぅ〜!

全ての部品交換は失敗も無く、自分の思う様な綺麗な仕上がりになりました。

これでこの Western Electric KS-16608-L1も当分安心して使い込めます。

今までオリジナルに拘って出来るだけ弄らない様にして来ましたが、やはり古いコンデンサーの事故で大事な出力管や出力トランスを壊しては元も子も無いですからね。

今回の様に一度弄ってしまえば今後は比較的気兼ねなく弄れるので逆に良かったかも知れません。

さぁ、当分慣らし運転です!

それでは、また〜♡