レトロ真空管ラジオのハム音対策改造回路図-1

私が以前記事にした「真空管ラジオのハム音を消す」方法について、「対策を具体的に説明して」とご要望を頂きましたので、今日は私の古い真空管ラジオのハム音対策を記事にしてみます。

実績として、私が所有している4台のレトロ真空管ラジオ全てのハム音がこの方法でハム音無しになりましたので、私的には効果はあったと思います。

ただし、私は真空管ラジオど素人なので、間違った説明もあるかも?ですので、その辺は皆様の寛大な気持ちを持ってお許し下さい。

私の「ハム音」対策は上図の改造だ

私が今まで手にした全てのレトロ真空管ラジオは入手した時点でかなりのハム音が有り、気になって仕方がなかったので真空管ラジオや真空管アンプのハム音対策について色々勉強しました。

私の真空管ラジオの回路図は全て左図の様なモノで、整流管からの出力された B電圧が直接 OPTトランスに行っています。

出力管には比較的大電流が流れるのでこの様な回路になっているものが多いのだと思います。

出力管前段に供給される B電圧の方はリップル除去用の電解コンデンサーと抵抗を通して供給されているので比較的リップルは少ないのですが、OPTトランスには十分にリップル除去されていない電圧が掛かっています。

また、出力管前段への B電圧は CRリップルフィルターによる電圧降下もあり少し電圧が低くなりますが、OPTへの電圧供給は出力管直なのでできるだけ電圧降下が無い電圧を供給したいのだと思います。

しかし、OPTトランスへの電圧はほんの少し位下がっても問題無いと私は思うので、右図の様に整流管出力から OPTトランスに行くまでの間に「47μFと200Ω」の軽い CRリップルフィルターを追加しました。

この 47μFは適当でも良く、50μF近辺なら大丈夫です。
ただあまり大きな値だと整流管を痛めてしまうし、少なすぎるとリップル除去効果が弱くなります。
私のラジオはトランレス式なので、耐圧は 200Vの電解コンを使ってます。
トランス式の場合はその電圧に見合った耐圧の電解コンを使って下さい。

また 200Ωの抵抗値も適当で良くて、500Ωでも 1KΩでも構わないですが、あまり大きな値だと電圧降下が大きくなり B電圧が低くなってしまうし、小さな値過ぎるとリップル除去効果が弱くなります。
200Ω位だと電圧降下も少なく、リップル除去効果もある様ですので、私的にはちょうど良いのかな?と思います。

但し、ここは出力管へ供給される電圧で比較的大電流が流れますので、私の場合 200Ωの抵抗は 5Wのモノを使用しています。この抵抗は最低でも2W位は必要で、可能なら出来るだけ大きなワット数の抵抗をお勧めします。

これにより OPTトランスに行く電圧からある程度リップルが除去され結果、私の場合、所有している4台の全てのラジオからハム音をほぼ完全に除去する事が出来ました。

「ほぼ」というのは、原理的に電源リップルというのは完全に除去出来ないので「完璧に」ハム音を無くす事は出来ないのです。

しかし私の場合、裸のスピーカーに耳をくっ付けても遠くでほんの少しハム音が聞こえるかな?聞こえないかな?という程度までハム音を消す事が出来てますので、シャーシをケースに入れてラジオから5cmも離れて聞けば、ハム音は全く聞こえません。

よって、クラシックの様な静かな音楽を聴いても、無音の時ハム音が全く無いので、とても静かに音楽を聴く事が出来ています。

「ハム音」の原因は沢山ある

私の場合は電源平滑回路のリップルを抑えただけでハム音を解決する事が出来ましたが、実はハム音の原因は沢山あります。

  1. 電源平滑回路の電解コンデンサー劣化
  2. コンデンサーの半田付けが浮いている
  3. 真空管ヒーター系配線の引き回し方
  4. 真空管自体が弱っている
  5. 各種部品の配置方法による電磁誘導
  6. B電圧配線の引き回し方
  7. 回路のシャーシへのアースポイント
  8. アンプの場合はグランドループ問題

等々、とっても私なんかに手に負えるモノではありません。

でも、メーカー製の古いラジオであれば、ちゃんと回路設計されてますので、上記の 1.整流回路の電解コンデンサー劣化以外の原因でハム音が発生する事は少ないのではないか?と私は思います。

昔の真空管ラジオで「ハム音」は当たり前?

OPTトランスに少しでも高い電圧を供給する為、また電流も確保する為、昔の真空管ラジオは整流管から直接 OPTに接続されている回路も多いので、やはり昔の真空管ラジオでハム音は当たり前というのもうなずけます。

でも、現代で昔の真空管ラジオを聴く時、ハム音は当たり前なんて嫌です。
上記の様な簡単な改造でハム音がなくなるなら絶対にやるべきと思います。

私は昔の真空管ラジオを整備する時、オリジナルの回路を尊重する派で、NFBやトーンコントールを付け加えたり、AUX入力を追加したり等の後付けの改造は一切行わない派なのですが、古いペーパーコンの交換と、ハム音対策だけは「しっかり」やります。

私の「ハム音」対策ポイント

私のハム音除去対策のポイントは…
整流管から出た直後に 1段の CRリップルフィルター(平滑回路)を入れ、そこから OPTトランスや、元ある平滑回路に接続する!です。(冒頭に掲載した画像の通りです)

整流管に接続された 200Ω出口の B電圧に出力管前段の負荷が掛かる事で、ここのリップル値が小さくなる為ハム音を無くす事が出来るのです。

レトロ真空管ラジオのハム音対策改造回路図-2

上図の様に整流管の出力と OPTトランスの間にだけ CRフィルターを入れたのでは 200Ω出口の負荷が小さくて効果が弱くハム音が出ます。(上図はダメなやり方です)

また、よくやるパターンで、元々付いている電解コンに並列に容量の大きな電解コンをつないで電源リップルを抑えようとしても多少ハム音は減るものの根本的な解決にはならないので全然ダメです。

必ず 1段(又はそれ以上)のCRリップルフィルター(平滑回路)を出力管の出口に挿入する事が必要です。つまり、低抵抗による多段π型平滑回路という事ですね。

Sonora RQU-222 の「ハム音対策」改造例

基本的追加は、200Ω 5Wの抵抗 1個と 47μF 200Vの電解コン 1個ですが、B電圧用のオリジナル電解コンが弱っていて交換したので結果、写真の様に 47μF が 2個になってますが、1個は無視して下さい。

Sonora RQU-222
(画像をクリックすると記事に飛びます)

GE Model-202 の「ハム音対策」改造例

基本的追加は、200Ω 5Wの抵抗 1個と 47μF 200Vの電解コン 1個ですが、B電圧用のオリジナル電解コンが弱っていて交換したので、結果、写真の様に 47μF が 2個になってますが、1個は無視して下さい。

GE Model-202
(画像をクリックすると記事に飛びます)

WestingHouse H-130 の「ハム音対策」改造例

基本的追加は、200Ω 5Wの抵抗 1個と 47μF 200Vの電解コン 1個ですが、B電圧用のオリジナル抵抗を実装位置の関係で交換したので、結果、写真の様に緑色の抵抗が 2個になってますが、1個は無視して下さい。

WestingHouse H-130
(画像をクリックすると記事に飛びます)

まとめ

ど素人の私が偉そうな事を書いてしまいましたが、私も色々勉強して最終的に上記の回路に落ち着きました。

初めの頃はハム音が絶対に嫌で、最悪ラジオを直流駆動で動かそうか!
とまで考えたり、トランジスターや IC を使った複雑なリップル除去回路を作ろうかとか悩みまくった時期があったのです。

最終的に 8段位の CRリップルフィルターを組んで実験した所、ハム音が無くなったので、その後それを切り詰めて行って、結果的に 47μFの電解コンデンサー1個と 200Ω 5W の抵抗1個の1段リップルフィルターでOKとなったのです。

ちなみに私の場合は 8段のフィルターも 1段のフィルターもハム音除去のレベルは変わらなかったので 1段で良しとしました。

昔の古い真空管ラジオだから、ハム音は当たり前、仕方ない、と諦めている方に少しでも参考になればと思い記事にしました。

この程度の改造なら、誰にでも出来ると思いますので、半田ごてとか使った事の無い人でも是非挑戦してみてください。

電源ハム音は絶対に無くせますっ!!

真空管ラジオ全くのど素人の私にも出来たのですから…

では、また〜♡

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