これだっ!

ヤフオクで一目惚れ、金も無いのに落札した。

今はラジオをいじれないけど…

家庭の事情で最近はラジオをいじっている時間が取れないので、もっぱら今まで収集してきたラジオやら測定器をヤフオクで断捨離する事ばかりやっている。

現在手元に残っている測定器は「テクトロの 50MHzオシロ」と「トリオのディップメーター」だけで他は全て断捨離したし、ラジオの方も「ドイツSABAラジオ」「ドイツSIEMENSラジオ」の 2台の大型ラジオだけを残して、他は全て断捨離した。

せめてこの残った測定器とラジオだけは嫁に出さずに死守しようと思っている。

最近の私の興味の傾向は…

一時期は通信型受信機に凝ってたけど、私はアマ無線はやらないし、BCLもやらないし、つまり短波は聴かないという事で、今では受信感度や選択度や周波数安定度には関心が無くなって来た。

ラジオについてはコレクションとして 5球スーパーとしては十分に高性能なドイツのラジオを 2台残したし、結局私が聞くラジオ番組は「NHK第1と第2」と「ネットラジオ」のみなので、やはり感度や選択度に拘る必要も無く 5球スーパークラスにも感心が無くなって来た。

そんな折、以前に「RADIO-KITS」さんからお預かりしている「0-V-2」で NHKを聴きながらネットをググっていたら、「1-V-1」の素晴らしさについて書かれた記事を見つけ、それを読んでいるうちにふつふつとシンプルな「0-V-1」に今まで以上に興味が湧いて来た。

ちなみに記事は「130dbの利得を持った 1-V-1」を読ませて頂きました。

私の興味の対象は「1-V-1」の様に高周波増幅が付いているものでは無く、あくまで「0-V-1」の高周波増幅無しで、低周波増幅も 1段だけと言う、これ以上下げられない一番シンプルなラジオだ。

ヤフオクで自作の並三(0-V-1)を発見!

ある日何気にヤフオクを見ていたら、シャーシむき出しの何処にでもありそうな自作の「0-V-1」が目に入ってしまい、最初は特に気にもせずヤフオク検索で通り過ぎていたのだけれど、そのラジオに装備されたバリコンの減速機構に何となく目が止まり、それをきっかけに興味が湧いて来た。

ん? このラジオのシャーシ、普通じゃないな… 何処にでも在るような並四シャーシなんだけど、細部にリベット打ってあったり、独自加工がしてある様な…

それと、部分的に作ったと思われるアルミの Lアングルなんかの加工が凄く綺麗に見えたので、こいつはもしかすると只者ではないなと…

ヤフオク説明では動作未確認のジャンク扱いとの事だけど、なんか凄く気になったので、最悪部品取りでも構わないと覚悟を決め落札した。

そして並三(0-V-1)が届いた

すっ、凄い… というのが最初の感想だ。

アルミシャーシの加工精度、部品取付用アルミアングルの加工精度、レトロな部品と新しい部品の巧みな融合、かなり手慣れた方の手作り作品とお見受けした。

以下、製作者様に敬意を表しつつ写真にて細部を紹介します。

このバリコンと減速ギア機構は何か別の受信機のモノを流用したものだと思われるが、バリコン取り付け用銅板とそれをシャーシに取り付けるアルミ製 Lアングルは自作と思われる。

とても綺麗に面取りされていて、加工精度もとても高そうだ。

また、シャフトを延長する「ジョイント」にも拘りを感じる。

再生用バリコンにも同様の「ジョイント」が使われていて、手が込んでいる。

またこのレトロチックな真空管シールドケースの形状がたまらない。

右側に映っている電解コンデンサーは実はもっと縦に長い形状なのだが、シャーシ内部で下にオフセットして取り付けてあり、シャーシ上部では少し短めに見せている。

このレトロ的な見せ方に抜群のセンスを感じる。

また、電解コンデンサーの取り付け金具もレトロな金色で渋いっす。

裏面全景で、左側にアンテナとアース端子、右側に見えるのは DINタイプの電源コネクターだ。

アンテナとアース端子のアップ写真。

DINタイプの電源コネクターのアップ写真。

左側が低周波増幅管 6Z-P1で、右側が整流管 12Fだ。

真空管の足元にはオーディオアンプの様なエアーフロー用の穴が綺麗に空けられている。

綺麗な並四トランスだ。

やっぱ、トランス唸り防止に 4点留めのトランスがベストと思う。

う〜ん、全体的な部品のバランスも最高だ。

1-V-1だとシールドや部品配置の制限でこうは綺麗に行かない。

やっぱ、ST管はかっちょいい!

0-V-1ならではの、小ざっぱりした部品配置。

真鍮製ジョイントを使って、3つのコントロールノブの飛び出し位置をぴったし合わせてある。

素晴らしい、完璧です。

ヤフオク掲載写真ではシャーシ裏まで見れなかったが、実際はご覧の通り。

高級部品をふんだんに使った手慣れたパーツ配置と半田付けに感心しまくり。

裏からシャーシ加工を良く見てみると、綺麗にRの付いた電源トランス取り付け用穴や、真空管ソケット穴などの精度が半端無く、まるで専用にあつらえて作ったメーカー製シャーシの様に思える。

そして、極め付けに驚いたのは…

なんとっ! TANGOの大型出力トランスの装備だ。

0-V-1本来の音質の良さに期待して、オーディオ的にも拘っていた事が伺われる。

それと 1オーム以下の小さな値のセメント抵抗をこんなにも多用した細かなパラメータ調整。

勉強の為に後で配線を目視しながら回路図を起こして見たいと思います。

はたしてどんな人がこのラジオを組み上げたのか…

凄すぎます。

そして、電源ON!

動作未確認のジャンクとはいえ、見るからに問題無さそうなので、私的にサクっと電源ON!

パイロットランプが無いので、真空管のヒーターを見つめていると、徐々に赤くなり…

ボリュームを回すと何やらノイズが聞こえ出し…

バリコンを回すと地元ラジオ局がガツンと入感した。

全く何の問題も無いではないか!!

再生バリコンを回すと綺麗に発振状態に突入し、発振が強くなり、その後停止する。

とてもスムースな再生移行が出来ている。

パーツのパラメータ調整がきっちり出来ている証しだ。

電源ハムも感じられず、ボディエフェクトも少なく、かなり静かなラジオという印象。

また、数時間以上連続運転しても電源トランスは温まりも少なく余裕がある。

並三(0-V-1)の実力は如何に

今まで「RADIO-KITS」さんの「0-V-2 低周波増幅+電力増幅」を聞いていたので、流石に「0-V-1 低周波増幅 1段」では音量が小さ過ぎて使い物にならないのでは?と心配してたのだが、実際に動作させてみると全然 OK!

自分の目の前で「0-V-1」をいじっている分には音量も十分にあり、全く不足は感じない。

感度だって、細かく再生状態を調整すればかなり高感度で受信出来るし、そこそこの選択度もある。

同調と再生を上手く調整しつつ「ピー」という発振直前で放送を浮かび上がらせる作業が実に楽しいし、また再生の掛け具合で感度を大きく調節出来る事に感動する。

完璧に同調と再生具合のバランスが取れた時は 5球スーパーにも負けない感度を感じる事が出来、私の環境では下手に高周波増幅を付けて「ノイズや発振」とかに悩まされるよりは、何も付けない超シンプルなこの「0-V-1」の方が静かでスッキリしていて気持ち良い。

まとめ

部品取りのつもりが、素晴らしい拾い物をしてしまった感じだ。

性能が上のものばかりを目指すのではなく、基本中の基本となる「0-V-1」を手に入れた事でホッと何かが吹っ切れた気持ちになりました。

製作者の方に感謝です!

では、また〜♡