せっかく励磁電源用パーツが揃ったのだから、もう少し実験を進めてみようと思う。

今日は電源トランスを使わない「トランレス方式」をメインに実験する。

電源トランス式 チョークインプット方式 セレン整流電源

まずは先日の、電源トランス式 コンデンサーインプット方式に対して、今回はチョークインプット方式でどの様な動作になるかを確かめてみた。

  1. 電源トランスは出力が AC165V、60〜70mAのモノを使用(ギリギリ容量です)
  2. 整流器は AEGのセレン整流器を採用
  3. 整流出力を 2KΩ レオスタット可変抵抗器で受ける
  4. 次に 5H 100mAのチョークトランスを使用
  5. 出力電解コンデンサーは 500μF 250Vを使用

可変抵抗最大値で出力電圧は 58V。

可変抵抗最小値で出力電圧は 100V。

コンデンサーインプット方式では 130Vを得られたが、チョークインプット方式では約 30Vダウンの 100Vしか得られない。

コンデンサーである程度平滑された脈流をチョークコイルのインダクタンス抵抗でドロップするより、整流器直後の平滑されないより交流分の多い脈流をチョークコイルに通せば当然電圧のドロップ率は大きくなるわけなのね。

トランレス方式 コンデンサー入力セレン整流電源

この方式は電源トランスが無いのでトランスの容量等を心配する必要が無く、入力電圧は 100V固定だが大きな容量の電流を取る事が出来るし、なによりトランスの大型部品が無くなるので電源をコンパクトに構成する事が出来る。

しかしトランレス方式は感電する恐れがあるので注意が必要で、今回の実験でも可変抵抗の金具の部分にご覧の様に非導電性のツマミを付けての実験となる。(本来は整流器と電解コンデンサーの間に「保護抵抗」を入れるべきだが、今回は実験なのでパス)

  1. 整流器は AEGのセレン整流器を採用
  2. コンデンサーインプット式で入力は 500μF 250Vの電解コンデンサーを使用
  3. 次に 5H 100mAのチョークトランスを使用
  4. 出力に 2KΩ レオスタット可変抵抗器を使用

可変抵抗最大値で出力電圧は 50V。

可変抵抗最小値で出力電圧は 100V。

トランレス方式 チョーク入力セレン整流電源

ついで、チョーク入力方式でやってみる。

整流器直後に「保護抵抗」を兼ねて可変抵抗を入れてみる。

  1. 整流器は AEGのセレン整流器を採用
  2. 保護抵抗を兼ねて 2KΩ レオスタット可変抵抗器を使用
  3. 次に 5H 100mAのチョークトランスを使用
  4. 次に 500μF 250Vの電解コンデンサーを使用

可変抵抗最大値で出力電圧は 30V。

可変抵抗最小値で出力電圧は 62V。

まとめ

今回の実験でのトランレス式では最大で 100Vしか取れなかったですが、セレン整流器を一般的なダイオードブリッジとかにすればもう少し出力電圧は取れるかと思います。

頭では何となく判ってはいたけど、一度ちゃんと確かめてみようと思っていたので、今回のは良い実験になりました。

しかし、励磁電源は… 「タンガーバルブ > 整流管 > セレン整流器 > ダイオード整流器 > スイッチング電源」みたいに良く言われていて、そしてその半波整流の方がより音が良い… とか、なんか昔に遡るシンプルな電源の方が良いみたいな。

そして直熱三極管のヒーターも直流点火よりもハムが出やすい交流点火の方が音がいい… みたいな。

う〜む、全て理屈で考える事の真逆に…

私なんぞには判らない事だらけで御座りまする。

そしてその音の差を聴き分けられない私めは悔しいので…

「そんな事は全て都市伝説だぁ〜!」と勝手に決め付け…

自分は「スイッチング電源で我が道を行くんじゃ〜!」と思考停止に陥るのでした。

それでは、また〜♡