あけましておめでとうございま〜す!

本年も昨年同様宜しくお願いいたします。

さて、今年は年始から eBayでこんな古めかしいアンプを落札してみました。

時代の逆行

今私が使っている Western Electric KS-16608-L1アンプは 1960年代に製造されたもので…

そして私の Telefunken 25cm 励磁は 1935年頃製造されたものだ。

このアンプのトランス類は Triadが使われ、周波数特性は 20Hz〜20KHzで +/- 0.25dbとなり十分に優秀な特性となる訳だが、それより昔のトーキー時代と言われる頃の音質とは果たして如何なるものか?

数年前、古いラジオのマグネチックスピーカーで音楽を聴いた時の様な感じなのだろうか?

気になる。

この 1935年頃に製造された励磁スピーカーを当時のアンプで鳴らすならば、当時の音を想像ではなく実際に聴く事が出来るのではないか?と思う。

結果的にその音が期待外れだったとしても構わない、実際に体験してみなくては判らないのだから。

オーディオマニアというもの本来は原音再生を目指すものだと思うが、私は天邪鬼なのか何故か昔の音質に興味が向いてしまって仕方がない。

まっ、一度大昔のサウンドに触れ、ガッカリして目が覚めれば正気に戻れるのかも知れないし。

とはいえ、私のアンプよりも古いウェスタンのアンプを探すと一気に 100万円越えとなり、私の細々とした年金生活での入手は絶対に望めない。

THORDARSON T-7506 42プッシュプル 6Wアンプ

そんな折、私のブログの読者様から「ソーダーソンのトランス」についての言及があり…

ソーダーソンのトランスの事とかアンプとか色々調べているうちに、偶々このアンプを eBayで発見し、値段もギリギリ私に買える範囲だったので即落札する事となった。

一応現地でリキャップが行われている動作品との事だが、シャーシ内部のチョークトランス 2個が断線のため同等品と交換され、ST管 2本も GT管に交換されたり、リキャップ時の半田付けがイマイチだったり、気になる所は多々あるが、時代を考えると十分に上物ではないかと判断した結果だ。

まっ、気に入らない所があれば自分で弄ればいいしね。

1930年のソーダーソン社カタログに載っているこのアンプは「T-7506-M」でプリ管に 6J7、出力管に 6F6、整流管に 5Z4と全てメタル管が使われているのだが、今回私が入手したものは本来プリ管に 6C6、出力管に 42、整流管に 80と全て ST管が使われている「T-7506」という初期型のタイプと言う事になり、本来のプリ管 6C6が改造により 6J7のメタル管に交換されていても特に違和感は無い。

ちなみに… プリ管に 6C6を使ったオリジナルの状態はこんな感じだった様だが、う〜ん、オリジナルも捨てがたいけど ST管にシールドケースが被って出力管よりデカイのがちょっと主張し過ぎかと…

今回入手したアンプはプリ管のソケットを GT管のソケットに換装してあり、かと言って今更ここを ST管用のソケットに戻す必要性も感じないので現状維持で行くとして、しかしここだけメタル管というのも美的にちょっとバランスが悪いと思うので…

現状の 6J7メタル管を、6J7Gより小型のサイズで、メタライズドのシールド、古いビンテージアンプに違和感なくマッチしそうな上写真の「フィリップス MINIWATT 6J7V」に交換しようと思う。

このアンプは 1930年代にソーダーソンから発売された純正の汎用アンプという位置付けで、アンプには励磁スピーカー用電源もアウトプット端子に用意されているが 275V 36mAと昔の高電圧低電流フィールドタイプなので、テレフンケンの 120V 80mAで使うには電源トランスが過負荷になる可能性があるのでこのフィールド電源は使わない事にする。

逆に言うと用意されている 36mAのフィールド電源を使わなければ、電源トランスの B電圧電流に余裕が出来、トランスの発熱や唸りも軽減し、ビンテージトランスに優しい使い方となるかも。

そして驚くのはこの周波数特性だ、まるでギターアンプの様ではないか。

なんと、5000Hzで -3db落ちとなりこの回路でどうやってそこまで低性能?に出来るのか判らないけど、そこはソーダーソンのインターステージとアウトプットトランスの味に期待してみたい。

またこれは「アカデミーカーブ」と言って、1930年代当時の映画館等で使うべきアンプの周波数特性規格を表したものだが、これも 5000Hz辺りからガタ落ちとなっていて正に今回落札したソーダーソンのアンプの周波数特性と近似している。

(20世紀的脱Hi-Fi音響論より)

そしてそして…「パースペクタ立体音響でリリースされた「風と共に去りぬ」を例にとって、ある劇場でとても心地よいサウンドが得られたカーブは上図の様なものだった」という事で、このカーブは今回のソーダーソンアンプの周波数特性ととても類似している。

つまり、1930年のソーダーソンのアンプと 1935年のテレフンケン励磁スピーカーが合体すれば、当時のトーキー映画館ぽい音質が実際に聴けるのかも知れないのだ。

まとめ

1930年というと今から 90年も昔の戦前… チャップリンやトーキーの時代だ。

今回ばかりは多少トランスが鳴いても我慢すべきアンプとなるかも知れない。

今年は下記の測定器も入手して手持ちアンプの特性など計測してみたい。

  1. オーディオジェネレーター
  2. ミリボルトメーター
  3. 小型オシロスコープ

ソーダーソンアンプの到着が楽しみです。

それでは、また〜♡