古い時代の真空管試験機は経年により精度が劣化している。

よって、普通は「校正」という作業を行って精度を正規化する訳だが…

私は面倒なのでそんな事はせず、その個体固有の特性を知った上でなるべく精度を上げる事を目指す。

まずはキャリブレ用 6L6出力管で様子をみる

まずは、試験機に 6L6真空管を挿して、LINE TESTをドンピシャ合わせる。

この時のフィラメント電圧は約 6.3Vと、偶然にもピッタリだ。

そして、本来 150Vとなる筈のプレート電圧は 132Vとなった。

さて、ここからが問題で…

LINE ADJUSTをフィラメント電圧に合わせるか、プレート電圧に合わせるか?だ。

ちなみにここで LINE ADJUSTでプレート電圧を 150Vに合わせてみた。

この時の LINE TESTの位置はここだ。

しかし、流石にこの位置ではフィラメント電圧が 7.5V位まで上がるので処理を中止。

また、表示された Gm値も高過ぎなので、当個体で 6L6等 6.3V管を計測する場合は…

  1. LINE ADJUSTは LINE TESTドンピシャの位置で
  2. この時のフィラメント電圧は 6.3Vなのでこのままで
  3. プレート電圧は 132Vと低いがこのままで

の設定が幸せになれそうだ。

次に 45直熱三極管で様子をみる

当試験機は 6L6等の 6.3Vオクタル管は無調整でそこそこ信頼出来る Gm値を得られるのだが…

45等の 2.5V ST管は結構低めの Gm値を示す傾向があるので、いろいろやってみた。

まずは 45真空管を挿して、LINE TESTに合わせる。

この時のフィラメント電圧が本来 2.5Vの所 2.38V位しかなく、少し低いか。

この時のプレート電圧も本来 150Vの所 133Vと低め。

LINE ADJUSTでプレート電圧を 150Vまで上げてみる。

この時の指針は LINE TEST位置よりも 3メモリ上。

しかしこの位置だと Gm値が高過ぎる表示に。

この時のフィラメント電圧を見てみると 2.6Vと少し高い。

今度は LINE ADJUSTでフィラメント電圧を 2.5Vに合わせてみると…

この時の指針は LINE TESTより 2メモリ上。

この時のプレート電圧は 144Vと範囲内となっている。

この状態での測定 Gm値は 2100となり、妥当な Gm値となった。

まとめ

この様な真空管試験機の各種測定電圧は、無負荷の場合と負荷ありの場合で当然変動する。

なので何を基準にするのが一番ベターなのか?

古い機械なのでそれぞれの個体でベターの条件は異なるだろうが、この HICKOK 6000の場合は…

  1. 負荷ありの状態で…
  2. プレートやスクリーン電圧よりも
  3. テスターで正しいフィラメント電圧になる様 LINE ADJUSTを行う
  4. そしてその時の LINE TEST指針の位置を覚えて置く
  5. 例えば 6L6の場合は LINE TESTドンピシャに合わせ…
  6. 45の場合は LINE TEST+2 に合わせる

校正などしなくても、取り敢えずこんなやり方で最低限の精度は確保出来ると思う。

そして今後キャリブレ管になり得る 45真空管を入手した時に、より精度を上げる事が可能だ。

どうせ私なんぞは数える程の球種しか測定しない人間なので、こんなやり方でも十分かも。

少しづつこの HICKOK 6000への信頼感が増して来ました。

それでは、また〜♡