ラジオを弄れる環境にある実家に居れるのが今週一杯になってしまったので少し焦っていたのだけど、やっと「RADIO KITS 0-V-2」用の部品が届き始めたので早速制作に着手した。
配線の心構え
今回「RADIO KITS」様のご好意により、この部品実装済みの「0-V-2」を提供して頂き、私は配線をするのみの作業となったのだが、如何せん私はラジオの配線をゼロから配線するのは全く初めての経験なので、まずは配線の心構えを整理してみようと思う。
私は今まで完成品のレトロラジオばかりを弄っていたので、コンデンサーのリキャップや軽修理配線に関しては「からげ配線」などと偉そうな事ばかり記事にして来たけど、今回は配線をゼロから作ってゆく実験みたいなモノなので下記の様に考えた。
- 部品や配線の交換が厄介な「からげ配線」は積極的に行わない
- 何故なら、初心者ゆえの実装間違い、配線失敗が多発する筈だから
- なので今回のハンダテクニックは、やり直しし易い「チョン付」でやってみる
電源回路の再勉強
実際に配線を始める前に「RADIO KITS」のサイトを熟読し、配線実装の基本を勉強し直した。
まず私が判って居る様で判っていないシャーシアース方式?だが下記の事が判った。
- 「1点アース」はオーディオ系で採用される実装技術(ハムやノイズに強い?)
- 「ニアバイアース」はラジオ等高周波回路での実装技術(発振に強い?)
「RADIO KITS」の制作記事写真を見てみると、成る程確かに「ニアバイアース」で実装されている。
その他「RADIO KITS」サイトで下記の実装技術を勉強した。
- 真空管のヒーターピン 2つのうち、適切な方をシャーシアースすべき
- 電源平滑回路の最下流からシャーシアースを行うべき
まずは電源回路の実装から
これだっ!
ちょっち恥ずかしいけど、現状配線の様子を初公開。
ちゃんと「ニアバイアース」用のアース母線も張ってあります。
一応、前述の「RADIO KITS」ご指導を守って居るつもりなんだけど、ちゃんと出来てるかな?
今後の部品実装に関しても、私は「直角配線」に全く拘ってはいないので、このアース母線は役に立つ。
流石に電源回路ごとき配線で間違いはしないだろう!という奢りから「からげ配線」で仕上げた。
しかしそれが悪夢の始まりだった…
電源平滑回路のアースポイント
電源平滑回路の最下流からシャーシにアースする配線のみを残して、その他の電源回路関係は全て綺麗に配線完了した。
配線を目視で確認して、簡単な回路なので間違う筈もない。
さぁ、オシロを接続して「電源ON」!
平滑回路やアウトプットトランス出力側波形を観測しつつ、最後に、電源平滑回路最下流のアースをシャーシに接続してみると…
なんとっ!「ブ〜」というハム音が…
なっ、何だ? 平滑回路に負荷が繋がっていないから、盛大なリップルが残ってる?
テスターやオシロでチェックしていると…
んっ? 何となく「臭い」がする。
経験上、この「臭い」は発熱による抵抗かトランスの臭いだ。
部品が新品だから、この程度の「臭い」は初期状態では有り得るだろうと思いつつ、抵抗を指で触わったが特に熱くなっている様子も無く、そして何気に電源トランスを触ったら…
あっ、少しというか、それなりに発熱してるし、そして、電源トランスが唸っている事に気がついた。
「ブ〜」という音はハム音じゃなくて、トランスの唸り音だったのだ!
トランスが唸ってると言う事は、ヒューズが切れないまでも過大な電流が流れている証拠だ。
慌てて電源OFFした。
「ラジオ少年 BT-1V」という電源トランス
原因を調べようと配線を外そうとしたが、なにせ既に「からげ配線」完了の状態…
なかなか配線が外せない、トホホ。
がっちり出来上がっていた配線を何とか外しながら原因を追求して行く。
こんな簡単な回路なのに、何が悪いと言うのか?
- 電源平滑回路のアース側をシャーシアースしなければ問題無い
- 但しそれをやっても、ヒーターのシャーシアースを止めると問題無い
どうもトランス出力線の「B電圧」と「ヒーター」に因果関係がある様だ。
最終的に電源トランスの出力側を全てオープンにしてテスターで調べた所…
なんとっ!「B電圧」と「ヒーター」巻線の片側間の抵抗値がゼロ、つまりトランスの内部で「内部結線」されている模様。
早速ネットで「ラジオ少年 BT-1V」トランスの仕様を検索。
調べまくったが、出てくるのはどこにでもあるトランスの結線図で「内部結線」されている様な情報は得られなかった。
しかし、私の目の前にある「BT-1V」の「B電圧」と「ヒーター」巻線間の抵抗値はゼロ、不思議だ〜。
もしかしたら「内部結線」じゃなくて、製造不良による「内部ショート」ってか?
ブリッジダイオードによる全波整流
ちなみに、前述の「内部結線」があっても、通常の「半波整流」ならどのみち巻線の片側をアースするので問題無いのだが、全波整流にあっては巻線の両側をブリッジダイオードに接続しアースする事は無いので非常に具合が悪い事になる。
もし、全波整流回路において、トランス巻線の片側がアースされ、ブリッジダイオードの出力のマイナス側もアースされるなら、整流後の半波サイクルのみショート状態となり過電流が流れてしまい、回路として成り立たない事になる。
よって通常の電源トランスでは「B電圧」と「ヒーター」巻線は内部結線してない筈なのだ。
前述の「トランスの唸り」の原因は正にこれだっ!
では、どうする?
安易にトランスを交換するのではなく、勉強の為にこのトランスを使用するとして、対処方法としては…
- 平滑回路かヒーター回路かどちらかのシャーシアースを諦める(それは無理)
- または、コンデンサー経由シャーシアースでも良いかも?(今回の場合は邪道)
- ブリッジ整流を止めて、ダイオード1個による半波整流とする(それが妥当)
が考えられるので、取り敢えず私的には「ダイオード1個による半波整流」で行く事にした。
回路を仮組みしてみたら、そのやり方で全然OK!
電源トランスも唸らないで全く正常な状態である事を確認した。
半波整流を本組みしたら、また問題が…
気を良くして仮組みを本組し、電源を入れ、平滑回路のアース側をシャーシアースに落とすと…
うん、電源トランスは唸らなくなって、それでOK!
んっ!なにっ?
平滑回路のアース側とシャーシアース間の結線に使ったワニ口クリップの電線が熱くなって来る。
再度、慌てて電源をOFF。
平滑回路のアース側とシャーシアース間をテスターで確認すると、6.3Vの電位差が…
なんと、本組した時、ヒーター配線のホットとコールド側を入れ違えていた事が発覚。
普通はホットでもコールド側でもどちらを使おうが関係ないのだが、今回の様にトランスの B電圧巻線とヒーター巻線の片側がトランス内部で結線されている場合、そのコモンコールド側とホット側を意識しないとダメなのだ。
この件、ヒーター配線のホットとコールド側を入れ替えてOK!
ふぅ〜、やっとこれで電源回路周りが出来上がった。
まとめ
なるほどね〜。
今まで気にもしてなかった事だけど、電源トランスの内部結線状態によって、こんなに色々と気にしなくてはならない項目があるんですね。
つーか、本来の「BT-1V」は内部結線有りの仕様なのか、単なる製造不良なのか?判りませんが、普通のトランスの様に内部結線無しであって欲しいです。
では、また〜♡
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「トランスに交流を入れて振動することを利用した」のがパーツフィーダーです。古典的搬送技術です。
メーカー製真空管ラジオもトランスを地側・シャーシを天側にして通電すると、ほどよい振動してくれます。 この振動による音への影響を嫌ってaudio系ではアルミ板(t5~t30)でampを自作する方も居ます。振動エネルギーに負けない重量が必要なので、A7015かSS400のシャーシが構造体として有利です。
真空管ラジオではこの振動エネルギーの影響を考慮した製作例はないと想います。
さてBT-1VはヒータとHI-VOLTは独立しているのが良品ですので、ハズレ品の可能性もあるかな、、、。と想います。
ソケットのすずメッキ線は「止め」でなく「通し」がよいですよ。
こんばんは!
やっぱ、BT-1VはヒーターとHI-VOLTは独立が正解ですか!
と言う事は不良品で偶々内部で繋がってしまったという落ちですね。
取り合えず現状で問題無いので、これで進めてみます。
はい、スズメッキ線のアース母線は「止め」ではなく、
切断せずに 1本の「通し」で引き回しています。
確か電子的にはそれが良かった様な…
あれっ? 意味が違っていたらゴメンなさい。
ジュラルミンで打ち間違えました。7075です。
可能ならトランスの黒ジャケット(端子部)の際から、「接触しているかどうか?」様子を覗いてください。
ジュラルミン?7075?
ちょっと意味が不明ですが…
端子部の際から「接触しているかどうか?」見るのは、
トランスを少しバラさないと見れない様なので、
取り敢えずこのまま進めてみます。
一通り完成、動作確認後に私の方でラジオ少年から
同じトランスを購入して取り替えてみます。